TOEICで800点取っても、英語が話せない。こんな悩みを企業の人事部から相談されることが増えている。日本人は他のことは優秀なのに、英語だけは低レベルのままなのは相変わらずだ。
日本企業にとって社員の英語力アップは大きな課題になっている。社内英語公用語化に踏み切った楽天やユニクロなど社員の英語力強化に乗り出す企業は増え続けている。企業によっては、TOEICスコアが目標スコアに達すると報奨金をもらえたりするようなインセンティブもあるほどだ。
小学校3年生からの英語必修化が決定したり、公務員の採用にTOEFLを課すなど、国も地方自治体も日本人の英語力アップに本腰を入れ始めている。
ビジネスマンにとって、今や英語力は職探しにも昇進・昇給にも欠かせない条件となっている。ところが、TOEIC対策だけをやっていては、いざ現場で英語を使うとなると、話せない、書けない、ということが露呈されてしまう。
精神的にネックになっているのは日本人の完璧主義ではないだろうか。会話力は間違った数に比例して伸びるにもかかわらず、恥をかかずに本を読んでも英語を勉強しようとする。楽譜が読めてもピアノが弾けないように、英語を話す練習をしなければ話せるようにはならない。
そもそも、ビジネスで英語を使うほうが、プライベートで英語を使うより簡単ではないだろうか。互いにメリットがある関係だからこそ成立するビジネスの世界では、こちらが話す内容は相手に利益をもたらすことがほとんどだ。
一般的な商談であれば、高度な英語力や専門知識がなくても十分に通用することが多い。ならば、今まで中学・高校・大学で学んできた英語の基礎を少し上乗せし、8割ほどの英語力を持てば十分だろう。あとは実践力をつければいいのではないか。
1つは、中学英語の文法力を身につけること。日本の中学英語の教科書はレベルが高く、中学英語の50~100の構文を使いこなせるようになれば会話はできるようになる。これに、ビジネスで使える表現をプラスさせるだけで、現場の会話などにも活用できる。
2つ目は、語彙力。最近、世界的に英語学習熱は高く、世界では非ネイティブ間のグローバル・イングリッシュ(グロービッシュ)が台頭している。そこで使用されている英単語1500語と、自分の仕事で使う専門用語を身につければビジネスのやり取りは可能になる。
3つ目に、TOEIC730点越えを目標にすること。ビジネスに必要な英語能力を測定するTOEICはすでに多くの企業で義務化されている。特にテスト勉強が好きな国民性を持つ日本人には相性が合うだろう。
最後に、メールやビジネス文書などライティングでコミュニケーションを取る機会が増えている。正しいメールの書き方や相手の心をつかむフレーズさえ覚えれば、ライティング力をアップさせるのは難しいことではない。
たかが英語で躊躇することなどなく、ある程度の文法理解と語彙力アップ、そして自分の仕事に自信を持てば外国人相手でもビジネスをスムーズに進めることができるようになる。コツをつかめば、8割ほどの英語力でも十分世界で戦えるのだ。 |