2016年現在、時代は駅前留学からオンライン留学へと風向きが変わりつつある。パソコンのテレビ電話機能を利用して、国内外の外国人講師から英会話のマンツーマンレッスンを受けることができるオンライン英会話が本格的に人気を集めている。
大手の英会話教室では、生徒が教室まで通ってレッスンを受けることで外国人講師と直接交流できるメリットがあるが、レッスン料金の異常な高さから通い続けることを挫折してしまうビジネスパーソンは少なくない。会社が費用を負担したところで結果は同じ。
その点、オンライン英会話では、安いレッスン料金と自宅や職場で利用できる手軽さが魅力になっている。ある大手英会話教室の場合、1グループレッスン（50分）で2500円～4000円、1マンツーマンレッスン（40分）で6000円～1万円であるのに対し、オンライン英会話では1マンツーマンレッスン（60分）1000円～2000円。レッスン料金の安さは圧倒的に勝っている。
パソコンとマイクヘッドセットさえあれば、場所を選ばずにレッスンを受けられる点も人気の理由になっている。すき間時間を利用することで、出張先でもレッスンを受けることができる。英会話力をキープするには有効な手段だ。
カリキュラムも比較的柔軟に組みやすくなっており、講師数が多いため、急なキャンセル変更にも対応可能なスクールが多い。たとえば、来週に英語でのプレゼンをしなければならなくなったとすると、普段は会話レッスンだけを受けていても、担当の講師にお願いすれば急きょプレゼン対策にレッスン内容を変更してくれることもある。
その際、フィリピン人などビジネス経験が少ない新興国の講師よりも欧米のネイティブのほうがビジネス経験が豊かでよりプレゼンなどの詳しい指導をしてくれることに変わりはない。ちなみに、e-Atlasの利用者は特に20代や30代が多く、2015年からは40代も増えてきている。
オンライン英会話はeAtlasとイングリッシュタウンが2001年にサービスを開始して以来、スカイプを利用したスクールも利用者を増やし続けている。しかし、競争激化に伴い、サービスや価格での差別化が進んでいる。
大手の一つであるレアジョブは講師の多さ、予約の取りやすさを強みとし、日本人カウンセラーによるカウンセリングもしているようだが、レベルに合わせた学習法も提案はまだ出てきていない。
また、DMM英会話もレッスン料金の安さが際立っている。2016年1月には値上げをしたがまだ最安値をうたっている。他者はフィリピン人講師中心だが、DMMは東欧などの講師も集めている。
最後に、ECC英会話は教室型英会話スクールの講師に導入している精度を、オンライン英会話にも応用し、レッスンの質向上を図っているようだ。さらに、無料通話ソフトであるスカイプを利用する中、e-Atlasと同じブラウザ上で会話できる独自開発のフラッシュソフトを導入したことで安定した通信環境を整えつつあるようだ。
今後、オンライン英会話の質は、チャットの部分をどうするかで勝負が決まってくる。チャットの部分を使いやすくし、利益を生むように工夫すればレッスンを受ける生徒や教える講師にとって使いやすく結果的に収益につながっていくだろう。逆にチャットの部分が使いにくく、利益を生むようになっていなければ、ビジネスモデルとして不利になるかもしれない。
チャットやその他のシステムの部分は、現状ではスカイプかフラッシュかHTML5の３つの選択肢があるが、スカイプのチャット機能やシステムには致命的な欠点がある。それえは、デザインやシステムをカスタマイズすることが一切できないということだ。
一見よくできているようにみえるスカイプだが、フラッシュやHTML5と比較すれば自由度が非常に低く、ビジネスとしては最も選択してはいけないシステムだ。オンライン英会話のシステムとしてスカイプを採用している時点で、ビジネスとしてはすでに失敗しているといってもいいだろう。
では、なぜ世の中でスカイプ英会話がブームになっていたり、東証に上場できるような企業も現れているのかといえば、誰もこのことに気がついていないからに過ぎないのだ。レッスン料金の安さと気軽さが魅力のオンライン英会話だが、無料体験レッスンなどで内容を確かめてから自分に合ったスクールを選びたい。今後は、子ども向けレッスンも充実させることが課題になるだろう。
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