語学の基本であるリスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4技能のうち、日本人はスピーキングとライティングが特に弱い。反対に、両者を集中的に鍛えることで、総合的な英語力をアップさせることが可能だ。
まず、中学レベルの英語を学ぶこと。中学3年生までの英文を暗唱し、ビジネスシーンに合う単語に組み替えて話すことが理想だ。TOEICテストのリーディング問題は文章としてスピーキング練習には難しすぎることを知ってもらいたい。
しかし、スピーキングの練習をしていないと、実際に簡単な言い回しすらすぐに頭に浮かばないもの。何も考えずに無意識に口から英語が出てくるまで、繰り返し声に出して頭に刷り込もう。
次に、英語は机の上で勉強するものではないこと。スピーキングは声に出す→話しかける→会話する、というプロセスだから、黙々と教材や本を読むだけでは上達しないということだ。
スピーキングがどれだけ上達するかは、実際に話をして間違えた数に比例するので、多くの日本人にとって、人前で英語を上手く話せずに失敗するのはとても恥ずかしく、嫌だろう。しかし、他の非ネイティブの外国人は、片言の段階からとにかくよくしゃべる。
細かい文法や小難しい英語のルールはお構いなしに、まず言いたいことを伝える。その上で、相手に指摘されたり自分で気づいたりして、表現を修正していく。日本人に多い完璧主義は語学学習の場合、どうしても上達の障害になってしまう。七転び八起きのメンタリティで取り組んだほうがより早く上達する。
最後に、ネイティブやバイリンガル幻想を捨てること。東京オリンピック招致のスピーチで使った英語も、難しい単語を使わずにゆっくりはっきり英語を話している。アジア圏など非英語圏のグローバル化が進むにつれて、仕事では非ネイティブ英語に憧れやコンプレックスを持つ必要はない。
では、実際にスピーキング力を上げるにはどうしたらいいのだろうか。Atlasマンツーマン英会話では、日々そのことについて日本人カウンセラーと外国人インストラクターの間で議論を交わしている。一方で、自分が話すための地力をつけること、すなわち自宅学習も組み合わせることが大切だ。
どんどん英語を話すといっても、自分の頭に英単語や表現の引き出しが多くなければ、いずれ会話に詰まってしまう。なので、中学英語レベルでいいので、会話表現のリスニングをしてインプットを増やしていくしかない。
英語の知識が増えてくると、丸暗記で話していた頃にはなかったようなミスをすることも出てくる。それは文法や英語の構造の理解と実際に話す運用力との間にギャップが生じたためで、英語力が衰えたのではない。知識や理解が増えることで、話す英語とのバランスも自然に取れていくようになるのだ。
ここではっきり言いたいことは、テレビやネットの広告で見かけるような、ただ漠然と英語を聴いただけでは奇跡は起こらないということだ。
聴いたら真似る、CDや映画と同時に声を出す、英語の発音に近くなるようも口の筋肉を動かす。家で一人なら大声も出せるし、一人カラオケを利用してもいい。やり方は、CDなど教材の英語を追いかける(シャドーイング)ことだ。文節ごとに一時停止して、自分でも内容を反すうしながら繰り返すリテンションという方法もある。そんな方法でも、ある程度のスピードで話せるようになるまで口を動かし繰り返すことだ。 |