会計と英語は、今やビジネスに欠かせないコミュニケーションツールになっている。なぜなら、両方を使いこなせないとビジネス自体ができないからだ。会計には苦手意識がある人も多いが、グローバル化はすでに日本にも来てしまっている。海外の同格の人材と会議して論破できるような実力を身につけなければならないのだ。
海外のビジネスパーソンはあなたに対して、まず利益にまつわる数字の話を率直にしてくることが多い。日本人が後回しにしていつ切りだそうかドキドキするような話しを、最初に切りだしてくるのだ。そうした習慣の違いはあらかじめ知っておく必要がある。
会計用語に入る前に、まず基本として数字にまつわる言い方を覚えてしまおう。少数点はポイントと読んだり、分数は分子から読んだりと、細かい違いが多いのがわかる。
外国人がケタの多い数字を流れるように話したときに、頭の中で瞬時に理解しなければならない。たとえば、ten billionと言ったとき、すぐ日本語に訳すのは簡単ではない。しかし、長い数字は、コンマで切ったところで単位を変えればよく、仕組みさえわかれば簡単だ。
会計用語の話に戻るが、実は会計を難しく感じさせる理由の一つに日本語の問題がある。勘定科目が複雑で意味がわかりづらいという欠点だ。かと言って、英語の分厚い参考書を読んでも意味はわからないだろう。勘定科目は英語の表現を日本語同時に覚えたほうが理解が早くなることが多い。
財務諸表などでよく使われる重要単語を覚えて、あとは中学レベルの英語でつなげれば日常的なビジネス会話は十分成立するだろう。
勘定科目の英語は、家庭の中で使われる単語がほとんどだ。表現が直截的で、日本語で会計を学ぶサポートにもなる。英語の表現を覚えることもできて一石二鳥だ。
売掛金と受取手形はどちらも英語ではreceivableが使われていることを覚えておくだけで、他の表現にも応用することができるだろう。買掛金と支払手形のpayableも同じだ。
気をつけたいのが利益という言葉だが、儲けることを美徳としない日本では収益力などと言って誤魔化すことが多い。外国人は、まず数字の話からしてくるものの、言葉に微妙なニュアンスの違いを入れてくるのが特徴になっている。
何でもかんでもprofitだと自分勝手で金の亡者のような印象を持たれてしまうかもしれない。そういう場合は、incomeやmarginなど、控え目な単語を使った言い方がある。日本語と比較していると、英語の会計用語は動詞の表現が豊かな傾向があるようだ。
私が大学時代に英語を勉強したときは、日本語訳が出版されている小説を原書と一緒に読んでいた。同じ文章を比較して、どのような言い回しが使われているかを学ぶと理解が早くなる。
企業のIR(投資家への事業公開情報)資料でも同じことができる。日本の大手企業の多くは、決算者の英語版サイトに掲載している。まずは日本語版を読んで、その部分の英語の言い回しをチェックしたい。
IR資料の文章は言い回しが多少固いので、会社の数字について学ぶには、ウォールストリートジャーナルのような新聞記事をおすすめしたい。そのときも、特定の表現に注目して、それがどのような言い回しで書かれているか意識しながら読むと効果的だ。それを何度も繰り返していくと、知らないうちに頭の中に文章の形が蓄積されるのがわかってくるだろう。
英語を学ぶときには発音や文法を少しでも正確にするよう心がけている。単語帳には必ず発音記号を書いて、英文メールの文章は細かいところまでチェックする。妥協せずに細部までこだわりを持って取り組むことが英語上達には不可欠なのだ
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