今や出世の登竜門となったTOEICだが、990点満点で新入社員の平均は515点だ。しかし、企業は管理職に対してもっと高いスコアを課している現実がある。TOEIC受験者のうち海外部門に所属している社員の平均点が655点なのに、700点以上のスコアを求める企業が多いことにも表れている。
しかし、TOEICスコア偏重には弊害も生まれているようだ。最近の若い社員は、TOEIC800点以上でも英語が話せない人が多く、海外勤務を敬遠するので企業も困っているという。英語のプレゼンでも1500語程度の単語と50ほどの言いまわしだけでも世の中の人を説得できるのだ。最後にモノを言うのは伝えようとする情熱だろう。
とにかく、英語力が低いと思う込みがちな日本人だが、世界的に見ると標準的な水準にいるのがわかる。外国人が多く学習意欲も高そうな東京や大阪・京都に限れば、1ランク上の高い能力レベルに入っている。
やはり問題は引っ込み思案と会話経験の圧倒的な少なさだろう。そこが慣れれば上達は早いかもしれない。
各企業が求めるTOEICスコア
800点以上:三井住友銀行、楽天、京葉銀行など
730点以上:三井物産、双日、丸紅、住友商事、伊藤忠商事など
600点以上:住友林業、トヨタ自動車、富士通、日立製作所など
550点以上:パナソニック、シャープなど
500点以上:コマツ、三菱電機など
2020年の東京オリンピックのため、語学力を生かしてボランティアスタッフに参加したい人は全人口の85%に達する一方、それに必要な語学力を持っていると思う人は全人口の21%しかないという。実力アップには語学留学が最適と考える人が62%を超えているが、英会話スクールに通うと答えている人も58%いる。今後も英会話スクール熱は衰えそうにない。(EF Education First Japan, EF留学研究所より)
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