400~700点未満の中級レベルの人は、最もスコアを伸ばしやすい。基礎レベルはすでに卒業しているので、より高度なことにもチャレンジできるはずだ。強化すべきパートは2と3だが、これら2つのパートはビジネスシーンを想定したやり取りが主体の設問が多いことが特徴だ。自分のものにすれば、同じようなシーンにおかれたときに役立つだろう。
特にパート3は、英語がさらに自然になった印象がある。パート2のように質問と解答だけに終始するのではなく、日常生活の中でのナチュラルな会話になっている。5月末の出題形式変更でパート3では言い回しやグラフや地図を見ながら解答する設問も加わり、よりリアルな会話に近くなった。たとえば、会社でもカレンダーを見ながらお隣の人と話したりするようなシーンもある。
トレーニングでは一度設問を解いた後で、答え合わせをする前にもう一度聴き、さらに不安なパートに集中して聴いていく。このとき、得たい情報を待ち伏せするように聴いていくと、聴こえ方が変わっていくのが自分でもわかるだろう。これでリスニング量も大きく増えていくはずだ。
最も大切なことはモノマネ音読だが、まず内容を理解してから文字を見て音声と同時に音読するオーバーラッピングという方法でやるべきだ。パート3の会話は30秒あるが、はじめは自己流でやると1分はかかってしまう。そこで英語らしさをマネしながら音声スピードについていくと、英語特有の強弱が身につき、最初から全部を音読しようとしないで、一文ずつ丁寧にやるのがいい。
それができるようになったら、文字を見ずに音声を聴きながらマネをするシャドーイングをやる。スマホの録音アプリで自分の声を録音して聴いてみるとリズムのズレが自覚できるようになるだろう。
中級者は文法やボキャブラリーの数もまだまだ不十分だ。リスニングセクションでスコアが上がっても、リーディングセクションで点数が取れないパターンがよく見られる。リーディングは英語の正確な知識がないと解答できないからだろう。そういう人はパート5と6の問題集の解説を見ないで自分で説明するトレーニングが有効だ。
700点以上の上級レベルの人は、スコアの取り方も自分の弱点もよくわかっていると思うが、だからこそ、これまでのマーク式テスト対策での成功体験は一切捨てて、問題文の会話や文章を自分で作れるようにトレーニングすべきだろう。
パート3と4の音声を聴いてマネするシャドーイングが効果を発揮する。しかし、映画俳優が演じているようなアクティングをしてほしい。セリフは事前に頭に入れて置き、感情を込めて監督が「カット!OK!」をもらえるようなレベルで演じられる力をつけたい。
加えて、パート7の文章を、問題を解くためには重要でない部分も含めて精読するのも効果的だ。リーディングセクションを75分間で解けない人はかなり多いようだ。早く読むスキルが存在するわけではないので、ゆっくりなら正確に読める方が、何度もトレーニングすることで早く正確に読めるようになるだろう。毎日英文を読むことを習慣化するべきだ。
どのレベルにも共通して言えることは、どれだけやれるか、ということだ。仕事上、様々な教材や学習法の相談を受けるが、教材やノウハウではなく、これと決めたことを人一倍やるほうが結果に直結する。今回紹介した学習法は、TOEICのスコアアップ重視ではなく、長持ちする英語力を身につけることを保証したい。
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