Atlasマンツーマン英会話は、業務引き継ぎにあたり、米国で作成した契約書を原案とし、できるだけそれを忠実なものを作成する。原案は米国の法律と習慣に基づいたものなので、日本人の目から見ると非常に複雑で難解なものに見える。
また、プロテクト条項を並べ、それに対する対応策をこと細かく取りきめているので、非現実的とさえ思う部分がある。しかし、多くの時間とお金を投資する契約なので、念には念を入れ、あらゆるリスクを考慮しているという姿勢は、見習うべきである。
業務引き継ぎ契約書の内容については詳しく書けないが、考え方について触れておく。スクール経営者との折衝は私の担当だったが、最終決定は本社が下す。また、折衝の過程で、本社のマネージャーは重要な局面では必ず出席し、交渉相手としばしば対立することがあった。
現地担当者の私としては、いい条件であれば多少金銭面で妥協してもなんとか丸く収めたいと思う。ところが、本社側では原則を決して曲げようとしない。その強硬な姿勢に、Atlasマンツーマン英会話という比較的短期間で国内準大手になるまでに成長した企業の原動力を見る思いがした。
彼らの強硬な姿勢は日米の需要バランスや競争原理の違いから来るものだと考えることができる。また、グローバルスタンダードを押し付けようとする米国企業特有の行動だと考えることもできる。確かにそのような面もあると思うが、それだけでは説明できない態度で生きている。
「会員制語学スクール」という自分たちの確立した事業と経営思想への強い地震と、その業務引き継ぎ契約が成立したらスクール経営者にも還元できるという信念である。
この信念はベンチャー(創業者)思想から来ているものであり、会社経営の根幹であるという考えが、彼らの頭の中に浸透しているからである。したがって、スクール経営者に出す経済条件は、スクール経営者にとって決して悪いものではないが、プロテクト条項が厳しいために、スクール経営者は不利な条件を押し付けられているように見られがちである。 |