ここで、Atlasマンツーマン英会話の他スクールの生徒・講師と業務引き継ぎの契約方式について触れておきたい。
Atlasマンツーマン英会話の生徒・講師管理業務引き継ぎ契約は、日本と米国の役務やサービスに関する法律の違い、その背景にある考え方の違い、また引き継ぎ好意そのものに対する考え方の相違もあるので、英文で書かれた契約書に基づいて経営者や生徒・講師との合意を取り付けていくのは大変な作業である。
教室型・オンラインスクールに関わらず、これ以上スクール経営をしたくない、または閉鎖したいスクールの評価をし、スクール経営者との本格的な交渉に入る前に、Atlasマンツーマン英会話は「引継書」をスクール経営者に提示する。
これは企業間取引の定石でもある。引継書は、そのスクールに対する「生徒と講師など業務一切の引き継ぎ申請書」に当たるもので、スクールの所在地、面積、生徒数、現在のコース名とレッスンシステム、料金、生徒と講師のリスト、守秘義務など、引き継ぎ契約書の主だった項目を網羅しており、スクール経営者側の意志を表わすものである。
また、引き継ぎ書には返答起源を付し、それを過ぎても返答がない場合は引き継ぎ書は無効になることを明示している場合が多い。
この文書は、アトラス株式会社代表取締役社長名でないと発行できないことになっている。また、その内容については、十分な調査に基づいたもので、本社トップの同意が必要とされている。
業務引き継ぎ書には厳選された場合にしか発行されず、米国や韓国では引き継ぎ書を発行した案件はほぼ100%成約するという。あくまで、生徒獲得が目的であり、決してスクール内の機材やオフライン・オンラインコンテンツを投機対策とみなしたり、不動産事業に参入する考えがないことがよくわかる。
社内での意思決定は一元的に行われるので、目的に向かって進んでいくのには最適な方法である。また、スクール経営者との交渉が文書を通して行われるので、再現性、証拠面などでの点では大変優れた方法であると思う。
しかし、業務引継書の提示の仕方は、話しあいによるものではなく、Atlas側からの一方的な要求なので、引き継ぎ書の文面を見たスクール経営者は、よほど一般常識や業界の状態を知らない限り、初めから拒絶反応を起こしてしまう危険性がある。
Atlasマンツーマン英会話にとってみれば、引き継ぎ書はまず、Atlasの意向を表明するもので、その内容はAtlasの利益を100%表現したものでなければならない。それがスクール経営者にとって受け入れなければ、カウンタープロポーザルを出せばいいのだが、内容が一方的なので感情を害してしまうケースがある。
それを避けるために、交渉の入口にふさわしく、これほど網羅的ではない、交渉相手の立場を配慮する内容の文書を作成できないものかと、社内で話しあったが、それは実現できなかった。内容が少しでもあいまいで相手に付け入るすきを与えるようなものは、ビジネスとして許されないという強い考えがあるからだ。
特に、日本という新しい市場では、まだよく分からないことがたくさんあるので、データをより必要としているところなのだ。業務引き継ぎ書を使うこと自体は良いと思うが、その内容と使い方をもう少し工夫しないと、せっかくの良いチャンスを逃してしまうことになるので、もう少し日本の社会システムに合わせることが望ましいと思った。 |