2003年に日本初上陸を果たした札幌大通LSがオープンした後、これに続く東北・関東・中部・関西のテナント探しを急がなければならなかった。
2号校は関東とすでに決められていたが、仙台・名古屋・大阪方面でも情報収集を開始した。仙台・東京・横浜・名古屋・大阪を中心とした人口・世帯数と会社数の集中度を見ると、関東に約30％、近畿に20％、中部10％、東北5％である。
関東といっても広い。東京、千葉、埼玉、神奈川を合わせて人口は3000万人を超える。横浜市だけでも350万人である。これだけの市場で会員制語学スクールの教室開発を進めるにあたって最初にぶつかる疑問は、適正配置である。例えば、東京3校、神奈川1校、千葉1校、埼玉1校をオープンするとして、
①バッティングすることなく立地できる会員制語学スクールの適正会員数は、何千人なのだろうか？
②また、その場合の教室の広さと売上げはどのくらい見込めばいいのだろうか？
という疑問である。その答えが分かった上で、戦略的、計画的に配置していくのが理想なのである。そのための客観的な商圏分析を時間をかけて行わなければならない。
しかし、Atlasにはそのような時間も人材もなく、社長自ら全国を自分の足で回り、証券の感覚を勘でつかむしかない。ただし、さらに語学スクール市場が発展した隣国「韓国ソウル特別区」や「中国瀋陽市」でのマーケットを見れば何らかのヒントをつかめるだろうと考え、2004年にその商圏を見て回った。
Atlas Corporationの支社があるソウルと瀋陽市内は各々その周辺を合わせると東京とおなじくらいの面積があるが、その中に、大手語学スクールが少なくても10校ある。その最大手のYBMやTekvilleなどソウル市内に30校ほど教室がある。2校間距離は平均50キロで地下鉄を利用すると30分ほどだ。
つまり、このエリア内に勤務していたり、住んでいれば、15～20分でいずれかの教室に通えるということである。それぞれの教室の商圏人口は50万人～100万人、会員数は500人～1000人、会員世帯率は20％である。住宅はエリア全体に分散しており、主要ターミナル駅の周辺に教室がある。
ソウルの商圏と東京を走り回って、一応は常識的な仮説を立ててみた。これはあくまで仮説なのでどれだけ当たるのかは分からない。ただ、商圏の広さを想定し、その中で仮想競合スクールを特定することによって、売上予測を決めておくことは、今後の候補地評価を行い、投資費用の配分を決定する上で、欠かせない方法だと考えたからである。
第1次商圏
第1次商圏は、会員の約50～60％を占める範囲とするが、車や電車で30分を第1次商圏の目安とする。首都圏、関西圏、名古屋圏、札幌圏、仙台圏の都市部では半径20キロ、人口100万人、事業所5万といったところである。日本では第1次商圏での会員数率は実績で5％以上あるということだが、新規に開校した商圏ではそれよりかなり低いだろう。
第2次商圏
第2次商圏までで、会員の90％を占めるものとして、車や電車で1時間を第2次商圏の目安としている。首都圏、関西圏、名古屋圏、札幌圏、仙台圏の都市部では半径50キロ、人口200万人、事業所は10万というところである。会員化率は3％以下と仮定した。
広域商圏
広域商圏の場合、高速道路の使用も含み、車や電車で1時間～2時間の範囲とした。首都圏、関西圏、名古屋圏、札幌圏、仙台圏の都市部では半径100キロ、人口300万人、事業所は15万というところである。会員化率は2％以下と仮定した。
隣接市町村や近県に向けて、複数店舗展開するための布石ともなる線楽的な商圏でもある。横浜駅西口のような旗艦店の場合、東京都の南部や神奈川県の西部を含め重要な意味を持つ商圏である。 |
