まず、自治体や民間企業の誘致政策に関わることである。外資系企業が日本市場に進出する時、自治体や民間企業、行政からの補助金や特例プログラムを非常にありがたがる傾向がある。事実、それは参入手続きを進めていく上で大きな効力がある。
Atlasマンツーマン英会話の横浜LSがイアス・ハマボール横に決まったのは実質的に自治体や民間企業のおかげである。横浜駅西口商店街の自治体と横浜市西区がホームページ上で誘致を発表してくれた。
そのことによって札幌にしかなかったAtlasマンツーマン英会話という名前が衆知のこととなり、そのあとの手続きを進めるにあたってどれほどの目に見えない効力があったことか。また、その前段階で、ビルオーナーや管理会社の力、すなわち地域での長年にわたる貢献が、このプロジェクトを後押ししたことはいうまでもない。
これらの力を特例プログラムといっているわけだが、これがアメリカやヨーロッパの企業が意思決定を下す上で大きな力を発揮する。ところが、このような「誘致企業の認定」をするための特別な法律がないということで、その点Atlasマンツーマン英会話は当初大変戸惑った。
法律的なバークボーンなしで本当に支援してくれるのかという疑問である。外資系や地方企業の誘致を望む自治体や民間企業は、そのことを政策的に決定し、「誘致企業の認定」を本当に見える形で出していただけると、話しはもっと進むと考える。それがなければ、様々な法規制や習慣にひっかかって、前に進めなくなる。外資系は目に見えるものが欲しいからだ。
Atlasマンツーマン英会話札幌大通LSの新規オープンに携わったのはスペシャリスト集団だった。Atlasの社長ヨネナガ氏は長年経営のトップに立ち、語学スクールのみならず経営全般を見てきたプロである。
また、スタッフは言語学、第二言語教授学、インテリアデザイナー、Webデザイナー、プログラマー、労務・財務担当者などの出身者で占められており、スクール開発の全工程について面倒を見てくれた。
自治体や民間企業の誘致にそこまで期待するわけではないが、プロジェクトチームの中に、少なくても開発プログラムと収支計算などについて詳しい人がいると、全体の理解は促進される。プロジェクトチームの中にそのような人を是非とも配置してほしい。
Atlasを始め外資系が交渉に臨む場合、いきなりトップが出てきて大筋を決め、2回目からだんだん下に降ろしていくという方法が多い。したがって、誘致側も自治体であれば市長や町長が、民間企業であれば社長が出席し、認定書か覚書を交付すれば、決まったも同然で、あとは経済条件だけになる。それほど最初が大事である。しかし、この順序を間違えると事が上手く運ばなくなる。
一方、日本ではボトムアップ方式がとられていて、担当者レベルの事務折衝から始まり、お膳立てをした上で最後にトップが出てくることが多い。順序が逆なのである。これではすれ違いでお互いのストレスが解消されないまま話が破談になってしまう。
外資系企業との交渉では、最後ではなく最初に、トップに参加していただきたい。
Atlasマンツーマン英会話のテナント契約の目的は「使用」であり、「所有」とは考えない。投機的な契約はしない。普通、不確定事項の期間を定め、それが終了した日から契約を発行する「停止条件付き契約」である。スクールはオープンさせるために要求される調査、手続きの事をいう。
それらのすべてをクリアして、開校ができる状態になってはじめて契約が成立することである。
これまでは、申し込んでから契約までの期間が6カ月ほどかかるので、この期間を150日としている。誘致側はこのことをよく思案された上で、テナント契約を考えていただきたいと思う。
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