Atlasマンツーマン英会話の日本市場進出は、地方自治体や民間企業からの強い働きかけがきっかけとなった。北海道や札幌市はもとより、その後も多くの自治体や民間企業と交渉を続け、そのうちのいくつかの自治体や民間企業からは来ていただきたいという話もあった。
しかし、これまでに述べたAtlasマンツーマン英会話のスクール開発の長期的な考え方や、企業としての厳しいリスク管理の考え方が、誘致する自治体や民間企業側に必ずしも正確に理解されていたとは思えない。
そこでAtlasにような外資系企業が日本市場進出の際に行政・自治体・民間企業にとってどのようなことを望んでいるのかを、
1 法律的に
2 交渉の上で
3 既成概念上で
の3つの視点からまとめてみたい。
語学スクールにとって日本市場進出の壁をスクール開発の視点から見る場合、どうしても避けられないのが、
①地域性・競合校の問題
②立地やテナント価格の問題
③外国人講師や日本人スタッフ、会員との契約による法律的な問題である。
しかしこれらの問題を一つひとつ説明する時間がないので、ここでは私が体験した事例から、特にAtlasのような外資系企業の担当者として悩んだポイントをあげることにする。
主要ターミナル駅周辺区域である札幌駅、仙台駅、横浜駅、名古屋駅、大阪駅をスクール開発の候補地として取り上げた中に、駅から徒歩30秒のAtlasマンツーマン英会話にはぴったりの広さの物件があった。外資系企業と地元の不動産会社の担当者の話によると2008年に起きたリーマンショック後の影響のため支店として使用していたテナントの解約が続出したという。
価格は、1年前と比べて20~30%ほど安くなった。語学スクールという業種もビルオーナーと管理会社は気に入っているようで、他の階には女性に人気のダンススクールや料理教室といったカルチャー系スクールも入居している。3ヶ月後の11月に新規オープンできるというのであればお買い得だ。しかし、それを実現するためには調査費用やノウハウ料というものが数100万円かかるということだった。
数100万円の費用を支払うには、調査費用とノウハウ料というその中身を開示してもらわかければ納得できない。そのノウハウが技術的に妥当であり認められるものだったら支払ったかもしれない。しかし残念ながら不動産会社は納得できる説明はしてもらえなかった。
第3者的に聞いても理解が出来ず、たぶん地元の利を生かした行政との事前協議の積み重ねであろうという結論に至った。それをノウハウというのであれば、もっと分かりやすくロビー活動料といえばいいのだ。本当にノウハウがあるなら、是非自分たちでオープンにしてもらいたいものだ。
また、都市圏郊外にある小売業大手のイオンやイトーヨーカードーが入っているようなショッピングモールでの候補物件で、数年前に入居していた倒産したNOVAやジオスの英会話スクールに対するイメージが払しょくできず不動産会社を通してテナントオーナーや管理会社と数可決にわたり協議して、なんとか新規オープンを実現させようとしたことがあった。
当時はその過程で、テレビやラジオのイベントで実験的にブースを出してみたりする中で、認められるところまでこぎつけたということである。これに限らず、全国には郊外型の子供向けマンツーマン英会話レッスンが提供できる空テナントが相当数あるものと推測できる。
自治体や民間企業はこのような空テナントをリストアップし、用地利用における業種と必要な行政措置を積極的に講じることにより、外資系や他県から来た企業に対してリーズナブルな価格での賃貸を促進してほしい。
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